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どんな人とでも飲み会終わりに歩いて帰るのが好きで、酔いが覚めた次の日に思い出して、あれは良かったなと思ってしまう。ほぼ中身のない会話と会話の間を、足音で暗闇で車の走行音で、埋めるのが好きだ。

ギターケースをガムテープでなおして使っていた先輩が、働きたくないといった。粉からカレーを作っていた先輩が、毎日コンビニ弁当だと笑った。ネットカフェに泊まった先輩は、旅がしたいとぼやいた。音楽の話は1年前から何も更新されていなくて、私たちはこうして最強ではなくなるのだと知った。

先輩たちはいつか売れると思ってますと、私はちょっとだけ嘘をついた。このまま終わって欲しくないと思っています、というのは本当だった。また飲みに行こうと、嘘だとしても嬉しかった。

わたしの中で先輩たちは、いつだって最強だった。今年のサークルの継続はしないことに決めた。