鴨もお前を愛さない

3/10

他部署の人と話しているとき、わたしの言い分を上司がやんわり補ってくれていて、配属ガチャでいったら、ほんとうに恵まれてる(でも向こうは新卒ガチャはずれかもと思うと落ち込む)。5月に配属されて、今度はこの人たちに迷惑をかけるんだなあとだれの名前も覚えないまま、そう思ったことは記憶している。べちゃべちゃぐにぐにした甘えて育った成れの果てを、周りの人が社会人という型にあてはめようとしてくださってる。

それでもなんちゃって社会人。パソコンにこのソフト入れておいて、と言われて、はいはいと進めていたら、抜いてはいけない線をぬいて、在宅勤務している人のパソコンをぶち切った。頭の中でジャルジャルに日々反省!日々成長!と言わせたり、SMAPにナンバーワンにならなくていい元々特別なオンリーワン〜とか歌わせたりしている。こんな社会人はいやだ。みなさんわたしよりよっぽとうまくやれてる(やれる)はずなので、元気を出してください。

 

3/3

会社にいるときのわたしは、会社にいるときのわたしとして話しているのであって、一度も素のわたしをおろして喋らない日がある。そんな金曜日だったから、1人でバーに行くことにした。はじめてだから、おたがいを知って知らないまま話すというのがたのしくて、おいしくて高いお酒をたくさん飲んだ。ululu、カネコアヤノ、家主、シャムキャッツをレコードでかけてもらった。また来ますといったけど、1回目の特別さをこえられる気がしない。

次の日の朝、電話がかかってきて、友人は1人でバーに行くのをやめると言う。わたし、君がたのしそうなの羨ましくて1人でバーに行ってきたばかりよ。

そんなわけでわたしは1人でバーにいく女なのだと自負して生きた一週間だった。

 

3/4

会社のひとと鍋パーティをした。くたくたの野菜を食べながら、会社のわたしと素のわたしのどちらともつかない、よくわからないわたしとして話した。くたくたの野菜おいしかったけど、これなら一人で食べてもおいしいな。一人でいるのが楽しいと思わない、だれかといるのがずっと楽しいという子は、こんなふうに所在のなさを感じたことないんだろう(気遣いや立ち回りもうまい)と思って羨ましかった。

 

3/1

青い空や鴨、あひるボードをみつつ、ガラス張りの中で今日もあの人たちは働いてるのだと会社の天井に思いを馳せながら飲む瓶ビールは格別に気持ちがよかった。インターネットの知り合いたちも、もう4年くらいの付き合いになる。2020年のインスタの投稿にも、2023年のインスタの投稿にもいいねしててなんか妙なかんじ。大学のときねと話したら、それTwitterでみたよと返される。

下北沢へululuを見に行った。体調の悪いライブハウスだった。帰り、コンビニから出てくる大滝カヨとすれ違って声をかけた。去っていく大滝カヨとコンビニの光がなんだか忘れられなかった。

 

3/11

ちょうどいい鞄がなかったから、いつもより小さいポシェットで出かける。必要なものだけをしまっていったらぴったりおさまった。いつものわたしはわざわざなにをそんなに持ち歩いているのか。いつかの図書館でにきび面の中学生が勉強しながら夢想していた、好きなライブや好きな美術館に気ままにでかけて過ごす大人にはそれなりになれているが。このままでわたしは幸せなんだろうか。

 

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